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"羊と鋼の森"から学ぶ天職との出会いによる成長の3ステップ

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宮下奈都さんの"羊と鋼の森"には、主人公が自らの天職と出会い、時には悩み、時には大きな喜びを感じながら人間的に成長していく姿が、描かれています。私の考える天職は、才能、実力に関わらず、本人がこれで食べていくと決めて、携わっていく仕事のことです。人から見てというよりは、自分自身の実感に重きを置いて考えているのは、天職とは覚悟を決めて取り組む姿勢のことであり、特別な才能の持主だけのものではないと考えているからです。"羊と鋼の森"では主人公がピアノの調律師という、かなり特殊な職業について描かれていますが、もっと身近な職業や、毎日の業務の中で感じるこんな瞬間にやりがいを感じるという、ことにも天職という考え方は共通しています。今回は、書籍"羊と鋼の森"から、天職というものにクローズアップしてお話ししていきます。

[羊と鋼の森のあらすじ]

ある日、高校生の外村は、学校の体育館でピアノの調律師の板鳥と出会います。外村は調律されたピアノから弾かれる音を聴いて、故郷の北海道の自然を思い浮かべます。音色の変化に感動した外村は、自分でもピアノの調律をしてみたいと思い始め、卒業後に東京の調律師専門学校に通い、調律師の道を歩み始めます。
ピアノの調律師という天職に出会った外村は、同僚の調律師や、依頼主と関わる中で調律師として、人として少しずつ成長していきます。

1)好きなことを仕事にする幸せ

誰しも、自分が好きな事や興味があることに仕事として携わっていくことができれば、喜びを感じるのではないでしょうか。長い人生の中でも、働く時間は大きな割合を占めています。仕事は、お金を稼ぐ手段であると同時に、自己実現の場でもあります。嫌な仕事を平日に頑張って、週末を楽しむという考え方もありますが、仕事の時間が自分にとって楽しい時間になれば、その人の人生にとっても実り多いものとなりそうです。私も畑違いの職種から、アパレルの仕事に転職したのは、好きだから、人と違った格好で目立ちたいから、という単純な理由でした。大好きな洋服に囲まれて仕事をすることは、今でも私の活力になっています。"羊と鋼の森"の主人公、外村も板鳥の調律した音を聴いて、調律師になって自らの調律したピアノで人を感動させる音を紡ぎ出したい想いから、調律師の道を歩んでいきます。きっとその歩みの中に、ワクワク感や幸福感があったことは間違いないでしょう。

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2)もっと知りたい、学びたいという向上心

好きなことや興味のあることは吸収も早く仕事としての成果も出やすくなるのは間違いありません。しかし、ただ好きだけでは段々と仕事として通用しなくなっていきます。なぜならキャリアを積めば、仕事で求められるクオリティや知識、テクニックはより高いレベルを求められる為です。好きなことを仕事にしている人は目的意識もはっきりしています。例えば、開業して店を出したい、人を感動させる作品を作りたい、など具体的な目標を持って行動していくので、常に目的に向かって自分自身をアップデートして、必要な知識やテクニックの習得に努めます。その行動は、好きや楽しいが根底にあり、やらされるのではなく自発的である為、漠然と仕事をしている人に比べて上達具合も段違いというわけです。私も正直、勉強は苦手なほうですがアパレルの知識は特別、苦労せずに頭に入ってくれました。また、それを実践する場所とお客様や先輩から教わることも多く、自然と知識やテクニック、所作などは身に付きました。"羊と鋼の森"においても、外村は所属している楽器店の同僚や依頼主から刺激をもらいながら、自分に足りないものを学んでいきます。

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3)挫折から立ち直る人間力

どんな職業の人でも、どれだけ好きな仕事においても失敗やモチベーションの低下は避けられません。そんな時に、拠り所になるのは仕事を始めるきっかけであったりします。その仕事に対するリスペクトや愛情がなければ、すぐに諦めてしまうことでしょう。大好きな仕事であっても、逆に好きな仕事だからこそ苦しい時、悩む時もあります。人生にも置き換えることができますが、その苦しみを乗り越えた場所に更なる幸福感や、充実感動があります。悩み、苦しみながら逃げずに前進することで、その人は人間的にも成長することができます。私自身も、何度も辞めたいと思うタイミングがありましたが、その都度、初心に立ち返って今の職業を選んだ目的や、理想を思い出しました。また、関わっているスタッフやお客様にも随分助けられました。"羊と鋼の森"の主人公、外村も仕事を続ける中で、大いに迷い、悩みます。その度に同僚の言葉に励まされ、依頼主に勇気をもらい、調律師を目指すきっかけとなった出来事を思い浮かべながら、自分なりに壁を乗り越えていきます。そんな経験の積み重ねが簡単には諦めない人間的な強さ、成長へと繋がっていくのです。

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[まとめ]

ここまで、"羊と鋼の森"の主人公、外村を引き合いに出しながら、天職に出会うことでいかに人間が成長できるのかお話ししてきました。
自分が何が好きかも分からない、という方も多いと思いますが、最初にもお話ししたとおり、天職とはいわば結果論であり、自分のやっている仕事が天職なのかどうかは、その人がどれだけその職業に対して真摯に向き合えるかに懸かっています。もちろん、好きなことや興味のあることを仕事にすることはモチベーションのアップには繋がります。しかし、好きでもないし、興味もない仕事の中にも小さな楽しみやちょっとした興味深いこともあるはずです。仕事を続ける中で、この楽しいと思える瞬間こそ、大事であるとも言えます。振り返ると実は今、出会っている仕事が天職だったという事もあるのではと考えてしまいます。

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